むらさき の 歌

   
 託馬野に 生ふる紫草 衣に染め いまだ着ずして 色に出でにけり 3- 395 笠女郎
 韓人の 衣染むといふ 紫の 心に染みて 思ほゆるかも 4- 569 大典麻田連陽春
 紫の 糸をそ我が搓る あしひきの 山橘を 貫かむと思ひて 7-1340 作者未詳
 紫の 名高の浦の 砂地 袖のみ触れて 寝ずかなりなむ  7-1392 作者未詳 
 紫の 名高の浦の なのりその 磯になびかむ 時待つ我を 7-1396 作者未詳 
  
 紫草の 根延ふ横野の 春野には 君をかけつつ うぐひす鳴くも10-1825 作者未詳 
 紫の 名高の浦の なびき藻の 心は妹に 寄りにしものを11-2780 作者未詳
 紫の 帯の結びも 解きも見ず もとなや妹に 恋ひ渡りなむ12-2974 作者未詳 
 紫の 我が下紐の 色に出でず 恋ひかも痩せむ 逢ふよしをなみ12-2976 作者未詳 
 紫の まだらの蘰 花やかに 今日見し人に 後恋ひむかも12-2993 作者未詳 
  
 紫草を 草と別く別く 伏す鹿の 野は異にして 心は同じ12-3099 作者未詳 
 紫は 灰さすものそ 海石榴市の 八十の衢に 逢へる児や誰12-3101 作者未詳
 紫草は 根をかも終ふる 人の児の うらがなしけを 寝を終へなくに14-3500 東歌 
  
 他に長歌
  16-3791   
 


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