う め
ウメ 梅 烏梅 宇梅
梅の花 今盛りなり 百鳥の 声の恋しき 春来たるらし 5−834 田氏肥人 我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも 5−822 大伴旅人 梅の花 降り覆ふ雪を 包み持ち 君に見せむと 取れば消につつ 10−1833 作者未詳 ウメ バラ科 サクラ属 落葉小高木〜高木で、庭や畑で栽培されている。2〜3月、葉に先立って咲く。通常は白色だが、紅色や淡紅色などもある。日本全国どこででも見るが、原産は中国中部。 今は花見といえば桜を思い浮かべますが、万葉人は梅の花を愛していたようです。万葉集には桜の46首に対して梅を歌ったのが119首と圧倒的に多い。これは、当時文字をはじめ中国の文化とともに梅が移入されたこと、そして万葉歌人がお手本にしたであろう漢詩にも梅が多く詠まれていたことなどから、一種の舶来文化に対する憧れのようなものがあったのだろうといわれています。 厳しい寒さが和らぎ、梅の花が咲いて多くの鳥たちの声も聞えてきます。ようやく待ちわびた春がやってきました。834の歌からはそんな喜びの様子が伺えます。 822は、そんな梅の花を観賞しようと、天平2年正月13日に、大伴旅人の家に集まって梅見の宴を開いたときの歌。このとき集まって詠んだ人の歌32首が寄せられてます。 1833では、可憐な乙女のそっと手で雪を掬う仕草が目に浮かんできます。恋人に見せようとしているのでしょう。でも手にしたとたん儚く消えていきます。恋の儚さを連想させてしまいます。 |