か  り

マガン   鴈 折木四哭 苅 切木四 可里 加里



出でて居なば 天飛ぶ雁の 泣きぬべみ 今日今日と言ふに 年を経にける
                 10−2266 作者未詳


 マガン カモ目 カモ科

 ガンの仲間には、マガン、カリガネ、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン等々いるが、万葉集では特に区別されておらず、総称して雁といっている。晩秋の頃北国から渡ってきて日本で越冬し、春になると帰って行く。

 万葉集では60余首と多く詠まれているが、数多くの群れで生活し、その鳴き声や飛ぶ姿(雁行)に特徴があり、よく目立つところから、身近な鳥として見られていたのだろう。枕草子にも、48段鳥はに、雁の声は遠く聞えたるあはれなり、とある。

 かりがねと詠っているのが多いが、これは今のカリガネではなく、雁の鳴き声のことを言っているようだ。 また、渡り鳥ということから旅を連想するのだろう、旅の歌や旅先から故郷の妻や恋人を思う歌が多い。

2266の歌意は、(旅に)出かけようとしたら 空を飛ぶ雁のように (妻が)泣きそうなので 今日こそ今日こそと言ううちに とうとう年を越してしまった


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