ゆ  り

ユリ   百合 由理 由利 由流



筑波嶺の さ百合の花の 夜床にも かなしけ妹そ 昼もかなしけ 
                       20−4369 大舎人部千文


ヤマユリ ユリ科 ユリ属

 ユリは世界に広く分布し、3700種もあるという。  まず憶えたのが、クルマユリ、コオニユリ、ヒメサユリ。が、これは山歩きで見たもの。

 万葉集では、百合という総称で詠まれていて、長歌2首、短歌6首ある。草深百合が2首あるが、これは他の草の中に咲いている百合を表わしている。

 百合は中部以北で分布するのがヤマユリで、近畿以西ではササユリ。山野に自生する多年草で、観賞用に庭などにも栽培されている。
 ヤマユリは高さ1〜1.5mの茎の先に数個〜10数個の白い大きな花をつけ、花の内側には黄色い線とオレンジの斑点がある。ササユリはヤマユリに比べやや小振りで、花は淡紅色、しっとりと優雅に見える。

 百合の語源は、細くすらっとした茎の先に多くの花をつけ、ゆらゆら揺れる様からというが、そのうるわしい風情から、か弱き女性を連想するのか妻や恋人を詠ったものが多い。

 4369の歌は、常陸国那賀郡の防人の歌。筑波嶺に咲く百合の花のように、夜の床でもいとしい妻は昼間でもいとしくてならない。常陸から難波へ向かう途中で、いとしい妻のことを思い出しながら苦しい道程を歩いているのだろうか。原文の佐由流の佐は接頭語。由流(ゆる)は方言でユリの訛ったもの。  

 
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