柳 の 歌

巻 5・6・8

   
 梅の花 咲きたる園の 青柳は 縵にすべく なりにけらずや5-817 少弐粟田大夫
 青柳 梅との花を 折りかざし 飲みての後は 散りぬともよし5-821 笠沙弥
 梅の花 咲きたる園の 青柳を 縵にしつつ 遊び暮らさな5-825 少監土氏百村
 うちなびく 春の柳と 我がやどの 梅の花とを いかにか別かむ5-826 大典史氏大原 
 春柳 縵に折りし 梅の花 誰か浮かべし 酒坏の上に5-840 壱岐目村氏彼方
 梅柳 過らく惜しみ 佐保の内に 遊びしことを 宮もとどろに6-949 作者未詳
 我が背子が 見らむ佐保道の 青柳を 手折りてだにも 見むしもがも8-1432 大伴坂上郎女
 うち上る 佐保の川原の 青柳は 今は春へと なりにけるかも8-1433 大伴坂上郎女
  
 他に17-853序  
  

巻 10

   
 うちなびく 春立ちぬらし 我が門の 柳の末に うぐひす鳴きつ10-1819 作者未詳
 春霞 流るるなへに 青柳の 枝くひ持ちて うぐひす鳴くも10-1821 作者未詳
 霜枯れの 冬の柳は 見る人の 縵にすべく 萌えにけのかも10-1846 作者未詳
 浅緑 染め掛けたりと 見るまでに 春の柳は 萌えにけるかも10-1847 作者未詳
 朝な朝な 我が見る柳 うぐひすの 来居て鳴くべき 森にはやなれ 10-1850 作者未詳
 青柳の 糸の細しさ 春風に 乱れぬい間に 見せむ児もがも

10-1851 作者未詳

 ももしきの 大宮人の かづらける しだり柳は 見れど飽かぬかも10-1852 作者未詳
 梅の花 取り持ち見れば 我がやどの 柳の眉し 思ほゆるかも10-1853 作者未詳
 我がかざす 柳の糸を 吹き乱る 風にか妹か 梅の散るらむ10-1856 作者未詳
 春されば しだり柳の とををにも 妹は心に 乗りにけるかも10-1896 柿本人麻呂歌集
 梅の花 しだり柳に 折り交へ 花にそなへば 君に逢はむかも10-1904 作者未詳
 ますらをの 伏し居嘆きて 作りたる しだり柳の 縵せ我妹10-1924 作者未詳
  

巻 11・13・14

   
 春柳 葛城山に 立つ雲の 立ちても居ても 妹をしそ思ふ11-2453 柿本人麻呂歌集
 うらもなく 我が行く道に 青柳の 萌りて立てれば 物思ひ出つも14-3443 東歌
 恋しけば 来ませ我が背子 垣内柳 末摘み枯らし 我立ち待たむ14-3455 東歌
 柳こそ 伐れば生えすれ 世の人の 恋に死なむを いかにせよとそ14-3491 東歌
 小田山の 池の堤に さす柳 成りも成らずも 汝と二人はも14-3492 東歌
 青柳の 萌らろ川門に 汝を待つと 清水は汲まず 立ち処平すも14-3546 東歌
  
 他に長歌 13-3324 
  

巻 15・17

   
 青楊の 枝伐り下ろし 湯種蒔き ゆゆしき君に 恋ひ渡るかも15-3603 作者未詳
 春雨に 萌えし柳か 梅の花 共に後れぬ 常の物かも17-3903 大伴書持
 遊ぶ内の 楽しき庭に 梅柳 折りかざしては 思ひなみかも17-3905 大伴書持
  
 他に17-3967序  
  

巻 18・19・20

   
 しなざかる 越の君らと かくしこそ 柳かづらき 楽しく遊ばめ18-4071 大伴家持
 君が行き もし久にあらば 梅柳 誰と共にか 我がかづらかむ19-4238 大伴家持
 青柳の ほつ枝攀ぢ取り かづらくは 君がやどにし 千年寿くとそ19-4289 大伴家持
 我が門の 五本柳 いつもいつも 母が恋すす 業りましつしも 20-4386 結城郡の矢作部真長
  
 他に長歌 19-4196 
  


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