や な ぎ

シダレヤナギ   柳 楊 夜奈枳 楊那宜 楊奈疑 也奈宜 



春の日に 萌れる柳を 取り持ちて 見れば都の 大路し思ほゆ
                 19−4142 大伴家持


 枝垂柳 ヤナギ科 ヤナギ属

 柳と言えば枝垂柳を思い起こすが、これは中国が原産。わが国には奈良時代に朝鮮を経由して渡来し、全国に広がった。

 柳には大別して、このように枝が垂れるものと、上に向って立つものがある。
 万葉集では、垂れるものを柳と書き、立つものを楊と書いて区別しているが、必ずしも厳密に分られているわけでもなさそうだ。

 垂れるものの代表が枝垂柳。別名イトヤナギといい、公園や街路樹として植えられていて、何処ででも目に付く。花材や細工物としても使われており、柳行李などはよく知られている。

 万葉集にはおよそ40首と比較的多く詠まれているが、柳の芽吹きが本格的な春を告げるようで待ち望まれていたからだろうか。柳の枝を縵にしたり、髪に挿して春を楽しんでいる様子が歌からも伺われる。

 4142の歌は、春の日に、芽吹いている柳を手に取って良く見ていると、奈良の都大路が思われるという意味。家持は天平18年(746)6月越中の守として任官。この歌を詠ったのは天平勝宝2年(750)3月2日。そろそろ京が懐かしくなってきたのか。翌年7月に少納言となって帰京する。

 平城京の朱雀門から南へ羅生門までの朱雀大路の両側には柳が植えられていたのだろう。今その一部が復元されている。  

 
その他の柳の歌

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