す す き

ススキ  須為寸 為酢寸 須酒伎 為ゝ寸 須ゝ吉 須ゝ伎
オバナ  草花 尾花 乎花 乎婆奈
カヤ  草 我夜 加夜 



人皆は 萩を秋と言ふ よし我は 尾花が末を 秋とは言はむ
               10−2110 作者未詳

さ雄鹿の 入野のすすき 初尾花 いつしか妹が 手を枕かむ
               10−2277 作者未詳


ススキ  イネ科 ススキ属

 ススキは全国の山野いたるところに生える多年草。高さは1〜2mにもなり、叢生する。

 屋根葺にも使われ、炭俵、箒、紙などの材料にもなり、生花の材料としてもよく使われる。根茎は利尿剤として薬用にもなったという。が、何よりも知られているのがお月見の供花。花より団子というが、ススキと団子とくれば中秋の名月で、お月見には欠かせないもの。秋の風物詩である。

 山上憶良の秋の七草の歌にも詠われているように、ススキは秋を代表する草花の一つ。2110の歌の作者も、人は皆秋の花は萩だというが、私はススキの方こそ秋の花だと言おう、と詠っている。

 2年余り箱根に住んだ頃、通勤に台ヶ岳の麓の道を走っていたが、ここのススキの原は壮観で、銀波のそよぐ様を見て深まりゆく秋を感じたものだった。

 万葉集には、すすき、をばな、かやとして詠われているが、出たばかりのほっそりと柔らかな穂が、わずかな風にそよぐ姿から、可憐でたおやかな娘を連想し、それに恋心を重ねたのであろうか、万葉集には恋の歌として詠ったものが多い。

 2277の歌意は、雄鹿が入るという入野のすすきの初尾花のように初々しいあの娘、いつになったらあの娘の手を枕にして共寝をすることができるだろうか。  

 
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