コヒルガオ(小昼顔)


 草叢の中に、ポツリポツリと明かりを灯したようにコヒルガオが咲いています。蒸し暑い昼の最中ですが、この淡い紫色の花は少しばかり清涼感を感じさせてくれます。この花はつる性の花で自立はできませんが、どこにでも巻き付いて繁茂していきます。

 同じヒルガオ科の花に、朝に咲くアサガオと夜に咲くヨルガオがあります。さらに夕方に咲くユウガオというのがありますが、こちらはウリ科の花で親戚ではありません。

 そして昼に咲くのがヒルガオですが、これにはヒルガオとコヒルガオの2種があります。古くはヒルガオのことをオオヒルガオと言い、コヒルガオのことをヒルガオと言っていたそうですが、これに異を唱えたのが植物学者の牧野富太郎。牧野は「ヒルガオをコヒルガオとし、オオヒルガオをヒルガオと認定している。それはそうするのが実際的であり自然的であり、また鑑賞的であって、したがって先人の見解が間違っている。」(「植物一日一題」ちくま学芸文庫)といいます。

 上記理由を、ヒルガオは「花が小さくてみすぼらしく色も冴えなく、なんとなく貧相であまり引き立たない」(同前)とこき下ろしていますが、これではコヒルガオがあまりにも哀れ、同情してしまいます。

 ヒルガオとコヒルガオの見分け方ですが、花の大きさが違いますが、個々に見ると分かりづらいです。そこで葉を見ます。葉は矛形ですが、コヒルガオの方は葉柄の付け根のところで二つに分かれ、それが左右に直角に張り出してT字型になっています。ヒルガオの方は左右に開かず真直ぐに伸びて矛形になっています。

  分類 ヒルガオ科、ヒルガオ属 多年草
  分布 在来種 本州~九州  道端、草地
  花期 6~8月
  高さ つる性 



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