アメリカイヌホオズキ)


 近くの大学のゴルフ練習場のフェンスに沿ってアメリカイヌホオズキの花が咲いている。ここは小さな森の北側にあたる場所で、少々湿っぽいところだが、ここにはドクダミ、ヤブジラミ、ヤエムグラ、オカトラノオ、マルバルコウなどの花が群生しており、春から次々と咲き競い毎日の散歩を楽しませてくれている。それぞれの花は小さく見過ごしてしまいそうだが、群生していると目を奪われる。

 アメリカイヌホオズキは、名前からわかるように北アメリカ原産の花で、日本には戦後間もない1950年ころに入ってきて全国に分布した帰化植物である。在来のイヌホオズキとそっくりで、はじめは区別がつかなかった。両者を見分けるポイントは花の付き方である。イヌホオズキは、花茎の途中から出る主花柄上に並んで花柄を付けている。一方のアメリカイヌホオズキは、主花柄の先に固まって花柄を放射状につけている。

 花の色は白から淡紫というが、淡紫のはまだ見ていない。花径は1.5㎜ほどで反り気味に星形に開いている。花の後は直径5㎜ほどの緑色の果実となり、秋の終わりころに黒く熟し、それが落ちて春に芽を出す。

 ところで名前の由来だが、草の姿がホオズキに似ていること。イヌは役立たずという意味。と、いくつかの図鑑を開いてみたが、どれも同じようなことが書いてあった。これでは犬に失礼ではないか。犬は家の番犬として、あるいは警察犬、盲導犬、救助犬、介助犬等々いろんな場所で活躍しているではないか。そんな思いでさらに見ていくと、「野草の名前」(高橋勝雄著、ヤマケイ文庫)にこんな解説があった。「イヌは犬ではなく、否という意味である。」つまり、イヌホオズキは、ホオズキに似ているがホオズキではないという意味、だという。どちらが正しいかは知らないが、犬の名誉のために、ここは後者に手を挙げておこう。

  分類 ナス科 ナス属 1年草
  分布 北アメリカ原産 北海道~九州  道路脇 草地 畑
  花期 8~11月
  高さ 50~80cm 

 






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