ぬえどり
トラツグミ 奴要鳥 奴要子鳥 奴延鳥 宿兄鳥
ひさかたの 天の川原に ぬえ鳥の うら嘆けましつ すべなきまでに 10−1997 作者未詳 よしゑやし 直ならずとも ぬえ鳥の うら嘆け居りと 告げむ子もかも 10−2031 作者未詳 トラツグミ スズメ目 ツグミ科 漂鳥または留鳥で、平地から山地の林の中に生息する。 頭から背中にかけて黄褐色、顔から腹にかけては白。体全体の黒い羽縁が鱗模様に見える。この模様がトラの由来だという。 古くから、ぬえ鳥、ぬえ子鳥と呼ばれていた。夜、口笛を吹くようにヒューと鳴く声が悲しそうに聞えるので、万葉人はこの鳥を悲しみを表わすと鳥と見ていたようだ。万葉集では、「うら嘆け」「片恋」などの枕詞になっている。 源頼政が宮中で退治したという、頭が猿、胴が狸、尾が蛇、手足が虎のような怪物も「ぬえ」といわれているが、鳴き声がぬえ鳥に似ていたのでそう呼ばれたそうだが、ぬえ鳥とはまったく別。あるいは鳴き声だけはぬえ鳥の声を聞いたのかもしれない。 1997の歌は、秋の雑歌七夕を詠った歌。意は、天の川原で、織姫は彦星に会えなかったのでしょうか、気の毒ななほどに嘆いておられた。 2031の歌は、ええいままよ、直接逢えないけれど、私がこんなに嘆き悲しんでいると、あの方に告げてくれる人はいないものか。 他に長歌 1-5 2-196 5-892 17-3978 |