か ら す
カラス 烏 加良須
暁と 夜烏鳴けど このもりの 木末が上は いまだ静けし 7−1263 作者未詳 朝烏 早くな鳴きそ 我が背子が 朝明の姿 見れば悲しも 12−3095 作者未詳 烏とふ 大をそ鳥の まさでにも 来まさぬ君を ころくとそ鳴く 14−3521 東 歌 波羅門の 作れる小田を 食む烏 瞼腫れて 幡桙に居り 16−3856 高宮王 ハシボソガラス スズメ目 カラス科 カラスは賢い鳥として知られている。 古事記では、神武天皇東征の折、熊野から大和に入る険路を先導した功績のある鳥とされているカラス。 それなのに、昔から不吉だとか、うるさいとか、汚いといってあまり良いように思われていないのは、その鳴き声や姿、あるいはちょっと人間を小馬鹿にしたような仕草から受ける印象によるものだろうか。まったく損をしている鳥だ。 万葉集には4首詠われているが、万葉人もあまり良い印象を持っていなかったようだ。 なお、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ミヤマガラスといった区別は江戸時代になってから。 3521の歌の「をそ」は、軽率、あわてもの、とんまといった意味。カラスというとんまの鳥め、実際には来られないあのお方なのに、ころくころく(自分から来る)と鳴きおって。これは鳥占いの歌という。 3856のカラスは、波羅門さんの作った田を食い荒らしたので、仏罰が当たって目が腫れているという。 |