はなかつみ
ノハナショウブ 花勝見
をみなへし 佐紀沢に生ふる 花かつみ かつても知らぬ 恋もするかも 巻4―675 中臣女郎 はなかつみに該当する花はノハナショウブと言われている。ノハナショウブは菖蒲園などでよく見られるハナショウブの原種で、日本全国の山野の草地や湿地に生えるアヤメ科、アヤメ属の多年草。 いずれがアヤメかカキツバタと言われるが、それにノハナショウブも加えて区別がつけにくい。ノハナショウブは3枚の外側の花弁の基部に黄色の筋があるのが特徴。 この歌は、中臣女郎が大伴家持に贈った5首の歌のうち1番目の歌。歌意は、 オミナエシが咲く佐紀沢に生える花かつみではないが、私はこれまでにない恋をしていますという意。上3句は序で、はなかつみと同音のかつてにつなげたもの。 この歌に対する大伴家持からの返歌はない。中臣女郎の贈った5番目の歌に 否と言はば 強ひめや我が背 菅の根の 思ひ乱れて 恋ひつつもあらむ 巻4―679 中臣女郎 とあるように、片想いだったのだろうか。 |