さきくさ
ミツマタ 三枝
春されば まづ三枝の 幸くあらば 後にも逢はむ な恋ひそ我妹 10−1895 柿本人麻呂歌集 ミツマタ ジンチョウゲ科 ミツマタ属 中国原産の落葉低木で高さは1〜2mくらい。花期は3〜4月。枝は決まって3本に分かれているので、この名がある。 早春、葉の出る前に枝先に1〜1.5cmの黄色い筒状の花が球状に固まって咲く。葉は細い楕円形。樹皮の繊維は優良な和紙の原料となるので、古くから栽培されているが、庭木としてもよく植えられている。花が赤い園芸品種もある。 歌意は、春になると、真っ先に咲くさきぐさの名のように幸せであるならば、この後いつでも逢うことができるだろう。そんなに思い(恋)つめないでおくれ、お前。 「な」は、すぐ下の動詞の表す動作(恋ひ)を禁止する意を表す上代語。 まず咲くさきくさと幸くがかけられている。 原文が三枝になっているので、ミツマタ説が強いが、他にヤマユリ、ジンチョウゲ、マツ、ツリガネニンジンなどや、幸くさということで福寿草という説もある。 他に長歌 5-904 |