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我が待ちし 秋萩咲きぬ 今だにも にほひに行かな 彼方人に | 10-2014 柿本人麻呂歌集 |
さ雄鹿の 心相思ふ 秋萩の しぐれの降るに 散らくし惜しも | 10-2094 柿本人麻呂歌集 |
夕されば 野辺の秋萩 末若み 露に枯れけり 秋待ちかてに | 10-2095 柿本人麻呂歌集 |
ま葛原 なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩の花散る | 10-2096 作者未詳 |
雁がねの 来鳴かむ日まで 見つつあらむ この萩原に 雨な降りそね | 10-2097 作者未詳 |
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奥山に 住むといふ鹿の 夕さらず 妻問ふ萩の 散らまく惜しも | 10-2098 作者未詳 |
白露の 置かまく惜しみ 秋萩を 折のみ折りて 置きや枯らさむ | 10-2099 作者未詳 |
秋田刈る 仮廬の宿り にほふまで 咲ける秋萩 見れど飽かぬかも | 10-2100 作者未詳 |
我が衣 摺れるにはあらず 高松の 野辺行きしかば 萩の摺れるそ | 10-2101 作者未詳 |
この夕 秋風吹きぬ 白露に 争ふ萩の 明日咲かむ見む | 10-2102 作者未詳 |
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秋風は 涼しくなりぬ 馬並めて いざ野に行かな 萩の花見に | 10-2103 作者未詳 |
春されば 霞隠りて 見えざりし 秋萩咲きぬ 折りてかざさむ | 10-2105 作者未詳 |
さ額田の 野辺の秋萩 時なれば 今盛りなり 折りてかざさむ | 10-2106 作者未詳 |
ことさらに 衣は摺らじ をみなへし 佐紀野の萩に にほひて居らむ | 10-2107 作者未詳 |
秋風は とくとく吹き来 萩の花 散らまく惜しみ 競ひ立つ見む | 10-2108 作者未詳 |
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我がやどの 萩の末長し 秋風の 吹きなむ時に 咲かむと思ひて | 10-2109 作者未詳 |
人皆は 萩を秋と言ふ よし我は 尾花が末を 秋とは言はむ | 10-2110 作者未詳 |
玉梓の 君が使ひの 手折り来る この秋萩は 見れど飽かぬかも | 10-2111 作者未詳 |
我がやどに 咲ける秋萩 常にあらば 我が待つ人に 見せましものを | 10-2112 作者未詳 |
手寸十名相 植ゑしく著く 出で見れば やどの初萩 咲きにけるかも | 10-2113 作者未詳 |
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我がやどに 植ゑ生ほしたる 秋萩を 誰か標刺す 我に知らえず | 10-2114 作者未詳 |
白露に 争ひかねて 咲ける萩 散らば惜しけむ 雨な降りそね | 10-2116 作者未詳 |
娘子らに 行きあひの早稲を 刈る時に なりにけらしも 萩の花咲く | 10-2117 作者未詳 |
朝霧の たなびく小野の 萩の花 今か散るらむ いまだ飽かなくに | 10-2118 作者未詳 |
恋しくは 形見にせよと 我が背子が 植ゑし秋萩 花咲きにけり | 10-2119 作者未詳 |
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秋萩に 恋尽くさじと 思へども しゑやあたらし またも逢はめやも | 10-2120 作者未詳 |
秋風は 日に異に吹きぬ 高円の 野辺の秋萩 散らまく惜しも | 10-2121 作者未詳 |
ますらをの 心はなくて 秋萩の 恋のみにやも なづみてありなむ | 10-2122 作者未詳 |
我が待ちし 秋は来りぬ 然れども 萩の花そも いまだ咲かずける | 10-2123 作者未詳 |
見まく欲り 我が待ち恋ひし 秋萩は 枝もしみみに 花咲きにけり | 10-2124 作者未詳 |
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春日野の 萩は散りなば 朝東風の 風にたぐひて ここに散り来ね | 10-2125 作者未詳 |
秋萩は 雁に逢はじと 言へればか 声を聞きては 花に散りぬる | 10-2126 作者未詳 |
秋さらば 妹に見せむと 植えし萩 露霜負ひて 散りにけるかも | 10-2127 作者未詳 |
さ雄鹿の 妻ととのふと 鳴く声の 至らぬ極み なびけ萩原 | 10-2142 作者未詳 |
君に恋ひ うらびれ居れば 敷の野の 秋萩しのぎ さ雄鹿鳴くも | 10-2143 作者未詳 |
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雁は来ぬ 萩は散りぬと さ雄鹿の 鳴くなる声も うらぶれにけり | 10-2144 作者未詳 |
秋萩の 恋も尽きねば さ雄鹿の 声い継ぎい継ぎ 恋こそ増され | 10-2145 作者未詳 |
秋萩の 散り行く見れば おほほしみ 妻恋すらし さ雄鹿鳴くも | 10-2150 作者未詳 |
秋萩の 散り過行かば さ雄鹿は わび鳴きせむな 見ずはともしみ | 10-2152 作者未詳 |
秋萩の 咲きたる野辺は さ雄鹿そ 露を別けつつ 妻問ひしける | 10-2153 作者未詳 |
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なぞ鹿の わび鳴きすなる けだしくも 秋野の萩や 繁く散るらむ | 10-2154 作者未詳 |
秋萩の 咲きたる野辺の さ雄鹿は 散らまく惜しみ 鳴き行くものを | 10-2155 作者未詳 |
秋萩に 置ける白露 朝な朝な 玉としそ見る 置ける白露 | 10-2168 作者未詳 |
秋萩の 枝もとををに 露霜置き 寒くも時は なりにけるかも | 10-2170 作者未詳 |
白露と 秋の萩とは 恋ひ乱れ 別くこと難き 我が心かも | 10-2171 作者未詳 |
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白露を 取らば消ぬべし いざ子ども 露に競ひて 萩の遊びせむ | 10-2173 作者未詳 |
このころの 秋風寒し 萩の花 散らす白露 置きにけらしも | 10-2175 作者未詳 |
このころの 暁露に 我がやどの 萩の下葉は 色付きにけり | 10-2182 作者未詳 |
秋風の 日に異に吹けば 露を重み 萩の下葉は 色付きにけり | 10-2204 作者未詳 |
秋萩の 下葉もみちぬ あらたまの 月の経ぬれば 風をいたみかも | 10-2205 作者未詳 |
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秋萩の 下葉の黄葉 花に継ぎ 時過ぎ行かば 後恋ひむかも | 10-2209 作者未詳 |
このころの 暁露に 我がやどの 秋の萩原 色付きにけり | 10-2213 作者未詳 |
さ夜ふけて しぐれな降りそ 秋萩の 本葉の黄葉 散らまく惜しも | 10-2215 作者未詳 |
我が門に 守る田を見れば 佐保の内の 秋萩すすき 思ほゆるかも | 10-2221 作者未詳 |
我が背子が かざしの萩に 置く露を さやかに見よと 月は照るらし | 10-2225 作者未詳 |
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萩の花 咲きのををりを 見よとかも 月夜の清き 恋増さらくに | 10-2228 作者未詳 |
萩の花 咲きたる野辺に ひぐらしの 鳴くなるなへに 秋の風吹く | 10-2231 作者未詳 |
秋萩の 咲きたる野辺の 夕露に 濡れつつ来ませ 夜はふけぬとも | 10-2252 作者未詳 |
秋萩の 上に置きたる 白露の 消かもしなまし 恋ひつつあらずは | 10-2254 作者未詳 |
我がやどの 秋萩の上に 置く露の いちしろくしも 我恋ひめやも | 10-2255 作者未詳 |
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秋萩の 枝もとををに 置く露の 消かもしなまし 恋ひつつあらずは | 10-2258 作者未詳 |
秋萩の 上に白露 置くごとに 見つつそ偲ふ 君が姿を | 10-2259 作者未詳 |
秋萩を 散らす長雨の 降る頃は ひとり起き居て 恋ふる夜そ多き | 10-2262 作者未詳 |
草深み こほろぎさわに 鳴くやどの 萩見に君は いつか来まさむ | 10-2271 作者未詳 |
何すとか 君を厭はむ 秋萩の その初花の 嬉しきものを | 10-2273 作者未詳 |
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雁がねの 初音聞きて 咲き出たる やどの秋萩 見に来我が背子 | 10-2276 作者未詳 |
萩の花 咲けるを見れば 君に逢はず まことも久に なりにけるかも | 10-2280 作者未詳 |
ゆくりなく 今も見が欲し 秋萩の しなひにあるらむ 妹が姿を | 10-2284 作者未詳 |
秋萩の 花野のすすき 穂には出でず 我が恋ひ渡る 隠り妻はも | 10-2285 作者未詳 |
我がやどに 咲きし秋萩 散り過ぎて 実になるまでに 君に逢はぬかも | 10-2286 作者未詳 |
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我がやどの 萩咲きにけり 散らぬ間に はや来て見べし 奈良の里人 | 10-2287 作者未詳 |
藤原の 古りにし里の 秋萩は 咲きて散りにき 君待ちかねて | 10-2289 作者未詳 |
秋萩を 散り過ぎぬべみ 手折り持ち 見れどもさぶし 君にしあらねば | 10-2290 作者未詳 |
秋津野の 尾花刈り添へ 秋萩の 花を葺かさね 君が仮廬に | 10-2292 作者未詳 |
咲けりとも 知らずしあらば 黙もあらむ この秋萩を 見せつつもとな | 10-2293 作者未詳 |
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