|
|
百済野の 萩の古枝に 春待つと 居りしうぐひす 鳴きにけむかも | 8-1431 山部赤人 |
ほととぎす 声聞く小野の 秋風に 萩咲きぬれや 声のともしき | 8-1468 小治田広瀬王 |
秋萩は 咲きぬべからし 我がやどの 浅茅が花の 散りぬる見れば | 8-1514 穂積皇子 |
をみなへし 秋萩交じる 蘆城の野 今日を始めて 万代に見む | 8-1530 作者未詳 |
草枕 旅行く人も 行き触れば にほひぬべくも 咲ける萩かも |
8-1532 笠朝臣金村 |
| |
伊香山 野辺に咲きたる 萩見れば 君が家なる 尾花し思ほゆ
| 8-1533 笠朝臣金村
|
をみなへし 秋萩折れれ 玉桙の 道行きづとと 乞はむ児がため | 8-1534 石川朝臣老夫 |
夕に逢ひて 朝面なみ 名張野の 萩は散りにき 黄葉はや継げ | 8-1536 縁達師 |
我が岡に さ雄鹿来鳴く 初萩の 花妻問ひに 来鳴くさ雄鹿 | 8-1541 大伴旅人 |
我が岡の 秋萩の花 風を痛み 散るべくなりぬ 見む人もがも | 8-1542 大伴旅人
|
| |
さ雄鹿の 萩に貫き置ける 露の白玉 あふさわに 誰の人かも 手に巻かむ
ちふ | 8-1547 藤原朝臣八束 |
秋萩の 散りのまがひに 呼び立てて なくなる鹿の 声の遥けさ | 8-1550 湯原王 |
明日香川 行き廻る岡の 秋萩は 今日降る雨に 散りか過ぎなむ | 8-1557 丹比真人国人 |
鶉鳴く 古りにし郷の 秋萩を 思ふ人どち 相見つるかも | 8-1558 沙弥尼等 |
秋萩は 盛り過ぐるを いたづらに かざしに挿さず 帰りなむとや | 8-1559 沙弥尼等 |
| |
妹が目を 跡見の崎の 秋萩は この月ごろは 散りこすなゆめ | 8-1560 大伴坂上郎女 |
我がやどの 一群萩を 思ふ児に 見せずほとほと 散らしつるかも | 8-1565 大伴家持 |
雲の上に 鳴きつる雁の 寒きなへ 萩の下葉は もみちぬるかも | 8-1575 作者未詳 |
朝戸開けて 物思ふ時に 白露の 置ける秋萩 見えつつもとな | 8-1579 文忌寸馬養 |
さ雄鹿の 木立ち鳴く野の 秋萩は 露霜負ひて 散りにしものを | 8-1580 文忌寸馬養 |
| |
秋萩の 枝もとををに 置く露の 消なば消ぬとも 色に出でめやも | 8-1595 大伴宿禰像見 |
秋の野に 咲ける秋萩 秋風に なびける上に 秋の露置けり | 8-1597 大伴宿禰家持 |
さ雄鹿の 朝立つ野辺の 秋萩に 玉と見るまで 置ける白露 | 8-1598 大伴宿禰家持 |
さ雄鹿の 胸別けにかも 秋萩の 散り過ぎにける 盛りかも去ぬる | 8-1599 大伴宿禰家持 |
妻恋に 鹿鳴く山辺の 秋萩は 露霜寒み 盛り過ぎ行く | 8-1600 石川朝臣広成 |
| |
高円の 野辺の秋萩 このころの 暁露に 咲きにけむかも | 8-1605 大伴宿禰家持 |
秋萩の 上に置きたる 白露の 消かもしなまし 恋ひつつあらずは | 8-1608 弓削皇子 |
宇陀の野の 秋萩しのぎ 鳴く鹿も 妻に恋ふらく 我にはまさじ | 8-1609 丹比真人 |
秋萩に 置きたる露の 風吹きて 落つる涙は 留めかねつも | 8-1617 山口女王 |
玉に貫き 消たず賜らむ 秋萩の 末わくらばに 置ける白露 | 8-1618 湯原王 |
| |
我がやどの 萩花咲けり 見に来ませ いま二日だみ あらば散りなむ | 8-1621 巫部麻蘇娘子 |
我がやどの 秋の萩咲く 夕影に 今も見てしか 妹が姿を | 8-1622 大伴田村大嬢 |
我がやどの 萩の下葉は 秋風も いまだ吹かねば かくもそみてる | 8-1628 大伴宿禰家持 |
手もすまに 植えし萩にや かへりては 見れども飽かず 心尽くさむ | 8-1633 作者未詳 |
| |
他に題詞に
8-1548 | |
| |
|
|
我が待ちし 秋萩咲きぬ 今だにも にほひに行かな 彼方人に | 10-2014 柿本人麻呂歌集 |
さ雄鹿の 心相思ふ 秋萩の しぐれの降るに 散らくし惜しも | 10-2094 柿本人麻呂歌集 |
夕されば 野辺の秋萩 末若み 露に枯れけり 秋待ちかてに | 10-2095 柿本人麻呂歌集 |
ま葛原 なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩の花散る | 10-2096 作者未詳 |
雁がねの 来鳴かむ日まで 見つつあらむ この萩原に 雨な降りそね | 10-2097 作者未詳 |
| |
奥山に 住むといふ鹿の 夕さらず 妻問ふ萩の 散らまく惜しも | 10-2098 作者未詳 |
白露の 置かまく惜しみ 秋萩を 折のみ折りて 置きや枯らさむ | 10-2099 作者未詳 |
秋田刈る 仮廬の宿り にほふまで 咲ける秋萩 見れど飽かぬかも | 10-2100 作者未詳 |
我が衣 摺れるにはあらず 高松の 野辺行きしかば 萩の摺れるそ | 10-2101 作者未詳 |
この夕 秋風吹きぬ 白露に 争ふ萩の 明日咲かむ見む | 10-2102 作者未詳 |
| |
秋風は 涼しくなりぬ 馬並めて いざ野に行かな 萩の花見に | 10-2103 作者未詳 |
春されば 霞隠りて 見えざりし 秋萩咲きぬ 折りてかざさむ | 10-2105 作者未詳 |
さ額田の 野辺の秋萩 時なれば 今盛りなり 折りてかざさむ | 10-2106 作者未詳 |
ことさらに 衣は摺らじ をみなへし 佐紀野の萩に にほひて居らむ | 10-2107 作者未詳 |
秋風は とくとく吹き来 萩の花 散らまく惜しみ 競ひ立つ見む | 10-2108 作者未詳 |
| |
我がやどの 萩の末長し 秋風の 吹きなむ時に 咲かむと思ひて | 10-2109 作者未詳 |
人皆は 萩を秋と言ふ よし我は 尾花が末を 秋とは言はむ | 10-2110 作者未詳 |
玉梓の 君が使ひの 手折り来る この秋萩は 見れど飽かぬかも | 10-2111 作者未詳 |
我がやどに 咲ける秋萩 常にあらば 我が待つ人に 見せましものを | 10-2112 作者未詳 |
手寸十名相 植ゑしく著く 出で見れば やどの初萩 咲きにけるかも | 10-2113 作者未詳 |
| |
我がやどに 植ゑ生ほしたる 秋萩を 誰か標刺す 我に知らえず | 10-2114 作者未詳 |
白露に 争ひかねて 咲ける萩 散らば惜しけむ 雨な降りそね | 10-2116 作者未詳 |
娘子らに 行きあひの早稲を 刈る時に なりにけらしも 萩の花咲く | 10-2117 作者未詳 |
朝霧の たなびく小野の 萩の花 今か散るらむ いまだ飽かなくに | 10-2118 作者未詳 |
恋しくは 形見にせよと 我が背子が 植ゑし秋萩 花咲きにけり | 10-2119 作者未詳 |
| |
秋萩に 恋尽くさじと 思へども しゑやあたらし またも逢はめやも | 10-2120 作者未詳 |
秋風は 日に異に吹きぬ 高円の 野辺の秋萩 散らまく惜しも | 10-2121 作者未詳 |
ますらをの 心はなくて 秋萩の 恋のみにやも なづみてありなむ | 10-2122 作者未詳 |
我が待ちし 秋は来りぬ 然れども 萩の花そも いまだ咲かずける | 10-2123 作者未詳 |
見まく欲り 我が待ち恋ひし 秋萩は 枝もしみみに 花咲きにけり | 10-2124 作者未詳 |
| |
春日野の 萩は散りなば 朝東風の 風にたぐひて ここに散り来ね | 10-2125 作者未詳 |
秋萩は 雁に逢はじと 言へればか 声を聞きては 花に散りぬる | 10-2126 作者未詳 |
秋さらば 妹に見せむと 植えし萩 露霜負ひて 散りにけるかも | 10-2127 作者未詳 |
さ雄鹿の 妻ととのふと 鳴く声の 至らぬ極み なびけ萩原 | 10-2142 作者未詳 |
君に恋ひ うらびれ居れば 敷の野の 秋萩しのぎ さ雄鹿鳴くも | 10-2143 作者未詳 |
| |
雁は来ぬ 萩は散りぬと さ雄鹿の 鳴くなる声も うらぶれにけり | 10-2144 作者未詳 |
秋萩の 恋も尽きねば さ雄鹿の 声い継ぎい継ぎ 恋こそ増され | 10-2145 作者未詳 |
秋萩の 散り行く見れば おほほしみ 妻恋すらし さ雄鹿鳴くも | 10-2150 作者未詳 |
秋萩の 散り過行かば さ雄鹿は わび鳴きせむな 見ずはともしみ | 10-2152 作者未詳 |
秋萩の 咲きたる野辺は さ雄鹿そ 露を別けつつ 妻問ひしける | 10-2153 作者未詳 |
| |
なぞ鹿の わび鳴きすなる けだしくも 秋野の萩や 繁く散るらむ | 10-2154 作者未詳 |
秋萩の 咲きたる野辺の さ雄鹿は 散らまく惜しみ 鳴き行くものを | 10-2155 作者未詳 |
秋萩に 置ける白露 朝な朝な 玉としそ見る 置ける白露 | 10-2168 作者未詳 |
秋萩の 枝もとををに 露霜置き 寒くも時は なりにけるかも | 10-2170 作者未詳 |
白露と 秋の萩とは 恋ひ乱れ 別くこと難き 我が心かも | 10-2171 作者未詳 |
| |
白露を 取らば消ぬべし いざ子ども 露に競ひて 萩の遊びせむ | 10-2173 作者未詳 |
このころの 秋風寒し 萩の花 散らす白露 置きにけらしも | 10-2175 作者未詳 |
このころの 暁露に 我がやどの 萩の下葉は 色付きにけり | 10-2182 作者未詳 |
秋風の 日に異に吹けば 露を重み 萩の下葉は 色付きにけり | 10-2204 作者未詳 |
秋萩の 下葉もみちぬ あらたまの 月の経ぬれば 風をいたみかも | 10-2205 作者未詳 |
| |
秋萩の 下葉の黄葉 花に継ぎ 時過ぎ行かば 後恋ひむかも | 10-2209 作者未詳 |
このころの 暁露に 我がやどの 秋の萩原 色付きにけり | 10-2213 作者未詳 |
さ夜ふけて しぐれな降りそ 秋萩の 本葉の黄葉 散らまく惜しも | 10-2215 作者未詳 |
我が門に 守る田を見れば 佐保の内の 秋萩すすき 思ほゆるかも | 10-2221 作者未詳 |
我が背子が かざしの萩に 置く露を さやかに見よと 月は照るらし | 10-2225 作者未詳 |
| |
萩の花 咲きのををりを 見よとかも 月夜の清き 恋増さらくに | 10-2228 作者未詳 |
萩の花 咲きたる野辺に ひぐらしの 鳴くなるなへに 秋の風吹く | 10-2231 作者未詳 |
秋萩の 咲きたる野辺の 夕露に 濡れつつ来ませ 夜はふけぬとも | 10-2252 作者未詳 |
秋萩の 上に置きたる 白露の 消かもしなまし 恋ひつつあらずは | 10-2254 作者未詳 |
我がやどの 秋萩の上に 置く露の いちしろくしも 我恋ひめやも | 10-2255 作者未詳 |
| |
秋萩の 枝もとををに 置く露の 消かもしなまし 恋ひつつあらずは | 10-2258 作者未詳 |
秋萩の 上に白露 置くごとに 見つつそ偲ふ 君が姿を | 10-2259 作者未詳 |
秋萩を 散らす長雨の 降る頃は ひとり起き居て 恋ふる夜そ多き | 10-2262 作者未詳 |
草深み こほろぎさわに 鳴くやどの 萩見に君は いつか来まさむ | 10-2271 作者未詳 |
何すとか 君を厭はむ 秋萩の その初花の 嬉しきものを | 10-2273 作者未詳 |
| |
雁がねの 初音聞きて 咲き出たる やどの秋萩 見に来我が背子 | 10-2276 作者未詳 |
萩の花 咲けるを見れば 君に逢はず まことも久に なりにけるかも | 10-2280 作者未詳 |
ゆくりなく 今も見が欲し 秋萩の しなひにあるらむ 妹が姿を | 10-2284 作者未詳 |
秋萩の 花野のすすき 穂には出でず 我が恋ひ渡る 隠り妻はも | 10-2285 作者未詳 |
我がやどに 咲きし秋萩 散り過ぎて 実になるまでに 君に逢はぬかも | 10-2286 作者未詳 |
| |
我がやどの 萩咲きにけり 散らぬ間に はや来て見べし 奈良の里人 | 10-2287 作者未詳 |
藤原の 古りにし里の 秋萩は 咲きて散りにき 君待ちかねて | 10-2289 作者未詳 |
秋萩を 散り過ぎぬべみ 手折り持ち 見れどもさぶし 君にしあらねば | 10-2290 作者未詳 |
秋津野の 尾花刈り添へ 秋萩の 花を葺かさね 君が仮廬に | 10-2292 作者未詳 |
咲けりとも 知らずしあらば 黙もあらむ この秋萩を 見せつつもとな | 10-2293 作者未詳 |
| |