なでしこが その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ひぬ日なけむ | 3-408 大伴家持 |
我がやどに 蒔きしなでしこ いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む | 8-1448 大伴家持 |
我がやどの なでしこの花 盛りなり 手折りて一目 見せむ児もがも | 8-1496 大伴家持 |
なでしこは 咲きて散りぬと 人は言へど 我が標めし野の 花にあらめやも | 8-1510 大伴家持 |
萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花 | 8-1538 山上憶良 |
射目立てて 跡見の岡辺の なでしこが花 ふさ手折り 我は持ちて行く 奈良人のため | 8-1549 紀鹿人 |
高円の 秋野々上の なでしこが花 うら若み 人のかざしし なでしこが花 | 8-1610 丹生女王 |
朝ごとに 我が見るやどの なでしこが 花にも君は ありこせぬかも | 8-1616 笠女郎 |
見渡せば 向かひの野辺の なでしこが 散らまく惜しも 雨な降りそね | 10-1970 作者未詳 |
野辺見れば なでしこが花 咲きにけり 我が待つ秋は 近付くらしも | 10-1972 作者未詳 |
隠りのみ 恋ふれば苦し なでしこが 花に咲き出よ 朝な朝な見む | 10-1992 作者未詳 |
うら恋し 我が背の君は なでしこが 花にもがもな 朝な朝な見む | 17-4010 大伴池主 |
一本の なでしこ植ゑし その心 誰に見せむと 思ひそめけむ | 18-4070 大伴家持 |
なでしこが 花見るごとに 娘子らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも | 18-4114 大伴家持 |
なでしこは 秋咲くものを 君が家の 雪の巌に 咲けりけるかも | 19-4231 久米広縄 |
雪の山斎 巌に植ゑたる なでしこは 千代に咲かぬか 君がかざしに | 19-4232 蒲生娘子 |
我が背子が やどのなでしこ 日並べて 雨は降れども 色も変はらず | 20-4442 大原真人今城 |
ひさかたの 雨は降りしく なでしこが いや初花に 恋しき我が背 | 20-4443 大伴家持 |
我がやどに 咲けるなでしこ 賂はせむ ゆめ花散るな いやをちに咲け | 20-4446 丹比国人真人 |
賂しつつ 君が生ほせる なでしこが 花のみ訪はむ 君ならなくに | 20-4447 橘諸兄 |
なでしこが 花取り持ちて うつらうつら 見まくの欲しき 君にもあるかも | 20-4449 船王 |
我が背子が やどのなでしこ 散らめやも いや初花に 咲きは増すとも | 20-4450 大伴家持 |
愛しみ 我が思ふ君は なでしこが 花になそへて 見れど飽かぬかも | 20-4451 大伴家持 |
他に長歌 17-4008 18-4113 |