うまら
ノイバラ 宇万良
道のへの 茨の末に 延ほ豆の からまる君を はかれか行かむ 巻20−4352 天羽郡の上丁丈部鳥 ノイバラ バラ科 バラ属 日本全国の山野に生える落葉低木。高さは2mくらいになる。良く枝分かれし、その枝には鋭いとげがあるが、枝先に花序をつけて良い香りのする白い花を沢山咲かせる。花期は5〜6月。秋になると実が熟し、古くから利尿剤として利用されていたらしい。 上の歌の「茨(うまら)」は「イバラ」の、「延ほ」は「延う」の、「はかれ」は「別れ」の東国の方言。 歌意は、道端の茨の先に、はいまつわる豆のように、まつわりつく君と別れて行かなければならないのか。 作者は、上総国天羽郡(今の富津市周辺)の上丁。防人として筑紫に向かう時に詠った歌である。ところで、君という言葉は通常女から男に対して言う言葉。万葉集中男が女に対して使っているのはまだ見たことはないが、使うこともあったのだろうか。一説にはこの君は主家の若君をさしているという。すなわち、自分に懐いている若君を置いて行かなければ、ということなのだが。 |