橘 の 歌

巻 2・3・4・6・7

   
 橘の 影踏む道の 八衢に 物をそ思ふ 妹に逢はずして2‐125 三方沙弥
 橘を やどに椊ゑ生ほし 立ちて居て 後に悔ゆとも 験あらめやも3ー410 大伴坂上郎女
 我妹子が やどの橘 いと近く 椊ゑてしゆゑに 成らずはやまじ3ー411 作者未詳
 あしひきの 山橘の 色に出でよ 語らひ継ぎて 逢ふこともあらむ 4ー669 春日王 
 橘の 本に道踏む 八衢に 物をそ思ふ 人に知らえず6ー1027 豊島采女
  
 紫の 糸をそ我が搓る あしひきの 山橘を 貫かむと思ひて7ー1340 作者未詳
 鏡なす 我が見し君を 阿婆の野の 花橘の 珠に拾ひつ7ー1404 作者未詳 
  
 他に長歌 3-423 
  

巻 8

   
 橘の 花散る里の ほととぎす 片恋しつつ 鳴くひしそ多き8ー1473 大伴旅人 
 我がやどの 花橘の いつしかも 玉に貫くべく その実なりなむ8ー1478 大伴旅人
 我がやどの 花橘に ほととぎす 今こそ鳴かめ 友に逢へる時8ー1481 大伴書持
 我が背子が やどの橘 花を良み 鳴くほととぎす 見にそ我が来し8ー1483 奄君諸立
 我がやどの 花橘を ほととぎす 来鳴かず地に 散らしてむとか8ー1486 大伴家持
  
 我がやどの 花橘は 散り過ぎて 玉に貫くべく 実になりにけり8ー1489 大伴家持
 君が家の 花橘は なりにけり 花なる時に あはましものを8ー1492 遊行女婦
 我がやどの 花橘を ほととぎす 来鳴きとよめて 本に散らしつ8ー1493 大伴村上
 五月の 花橘を 君がため 玉にこそ貫け 散らまく惜しみ8ー1502 大伴坂上郎女
 暇なみ 五月をすらに 我妹子が 花橘を 見ずか過ぎなむ8ー1504 高安王
  
 望ぐたち 清き月夜に 我妹子に 見せむと思ひし やどの橘8ー1508 大伴家持
 妹が見て 後も鳴かなむ ほととぎす 花橘を 地に散らしつ8ー1509 大伴家持
  
 他に長歌 8-1507 
  

巻 9・10

 
   
 ほととぎす 花橘の 枝に居て 鳴きとよもせば 花は散りつつ10ー1950 作者未詳
 ほととぎす 来居も鳴かぬか 我がやどの 花橘の 地に落ちむ見む10ー1954 作者未詳
 橘の 林に椊ゑむ ほととぎす 常に冬まで 住み渡るがね10ー1958 作者未詳
 風に散る 花橘を 袖に受けて 君が御跡と 偲びつるかも10ー1966 作者未詳
 かぐはしき 花橘を 玉に貫き 送らむ妹は みつれてもあるか10ー1967 作者未詳
  
 ほととぎす 来鳴きとよもす 橘の 花散る庭を 見む人や誰10ー1968 作者未詳
 我がやどの 花橘は 散りにけり 悔しき時に 逢へる君かも10ー1969 作者未詳
 雨間明けて 国見もせむを 故郷の 花橘は 散りにけむかも10ー1971 作者未詳
 橘の 花散る里に 通ひなば 山ほととぎす とよもさむかも10ー1978 作者未詳
 五月山 花橘に ほととぎす 隠らふ時に 逢へる君かも10ー1980 作者未詳
  
 片搓りに 糸をそ我が搓る 我が背子が 花橘を 貫かむと思ひて10ー1987 作者未詳
 我こそば 憎くもあらめ 我がやどの 花橘を 見には来じとや10ー1990 作者未詳
 橘を 守部の里の 門田早稲 刈る時過ぎぬ 来じとすらしも10ー2251 作者未詳
  
 他に長歌 9-1755 
  

巻 11・13・14・15・16

   
 橘の 本に我が立ち 下枝取り 成らむや君と 問ひし児らはも11ー2489 作者未詳 
 我妹子に 逢はず久しも うましもの 阿倊橘の 苔生すまでに11ー2750 作者未詳
 あしひきの 山橘の 色に出でて 我は恋ひなむを 人目難みすな11ー2767 作者未詳
 橘の 古婆の放髪が 思ふなむ 心愛し いで我は行かな14ー3496 東歌
 小里なる 花橘を 引き攀じて 折らむとすれど うら若みこそ14ー3574 東歌
  
 我がやどの 花橘は いたづらに 散りか過ぐらむ 見る人なしに15ー3779 中臣宅守
 橘の 照れる長屋に 我が率寝し 童女放りに 髪上げつらむか16ー3823 作者未詳
  
 他に長歌 13-3239 13-3307 13-3309  
  

巻 17・18

   
 橘は 常花にもが ほととぎす 住むと来鳴かば 聞かぬ日なけむ 17-3909 大伴家持
 ほととぎす 何の心そ 橘の 玉貫く月し 来鳴きとよむる17-3912 大伴家持
 橘の 匂へる香かも ほととぎす 鳴く夜の雨に うつろひぬらむ17-3916 大伴家持
 橘の にほへる園に ほととぎす 鳴くと人告ぐ 網ささましを17ー3918 大伴家持
 鶉鳴く 古しと人は 思へれど 花橘の にほふこのやど17-3920 大伴家持
  
 玉に貫く 花橘を 乏しみし この我が里に 来鳴かずあるらし17-3984 大伴家持
 我がやどの 花橘を 花ごめに 玉にそ我が貫く 待たば苦しみ17-3998 石川水道
 橘の とをの橘 八つ代にも 我は忘れじ この橘を18-4058 元正天皇
 橘の 下照る庭に 殿建てて 酒みづきいます 我が大君かも18-4059 河内女王
 月待ちて 家には行かむ 我が挿せる 赤ら橘 影に見えつつ18-4060 粟田女王
  
 常世物 この橘の いや照りに わご大君は 今も見るごと18-4063 大伴家持
 大君は 常磐にまさむ 橘の 殿の橘 ひた照りにして18-4064 大伴家持
 ほととぎす いとねたけくは 橘の 花散る時に 来鳴きとよむる18-4092 大伴家持
 白玉を 包みて遣らば あやめぐさ 花橘に 合えも貫くがね18-4102 大伴家持
 橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見欲しが18-4112 大伴家持
  
 他に長歌 18-4101 18-4111  
  

巻 19・20

   
 ほととぎす 来鳴きとよめば 草取らむ 花橘を やどには椊ゑずて18-4172 大伴家持
 この雪の 消残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む19ー4226 大伴家持
 島山に 照れる橘 うずに刺し 仕え奉るは卿大夫たち19-4276 藤原八束 
 橘の 美袁利の里に 父を置きて 道の長道は 行きかてぬかも20-4341 丈部足麻呂
 橘の 下吹く風の かぐはしき 筑波の山を 恋ひずあらめかも20-4371 占部広方
 消残りの 雪にあへ照る あしひきの 山橘を つとに摘み来な20-4471 大伴家持
  
 他に長歌 19-4166 19-4169 19-4180 19-4189 19-4207 19-4266 
  


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