ミソサザイ
留鳥または漂鳥
夏は比較的低い山地で繁殖し 冬平地に下りてくる
繁殖期以外は単独で行動しているのでなかなか見つけにくい
流れに沿って岩や倒木の上を渡りながらクモや昆虫を獲っている
体長は10cmほどで わが国の鳥では最も小さい鳥の一つ
ミソ は溝 サザ は小さい イ はキの転化で鳥という意味
ミソサザイは古くはサザキといっていたようだ
方言に みそぬすみ というのがある みそは味噌に充てられ
民家の近くまで来るので 台所に入って味噌を盗んでいく鳥という
全身茶褐色で黒い横縞が入る なるほど色も味噌に似ている
名と色合いから不名誉な名が付けられたのかもしれない
ミソサザイは古くから鷦鷯(さざき)と呼ばれよく知られた鳥で
仁徳天皇の名にも 大鷦鷯尊と付けられた
この命名のいきさつは 日本書紀によると
仁徳天皇が生まれた日に産屋にみみずくが飛び込んできたという
翌朝父の応神天皇は大臣武内宿禰にこれは何のしるしかと尋ねた
武内宿禰はそれはめでたいしるしですと答え
実は我が妻も昨日出産の時にミソサザイが飛び込んできました
これも不思議なことですといった
天皇は これは天のお示し 互いにその鳥の名をとって交換し
後のしるしとしようといわれ 天皇の子に大鷦鷯尊と名付けられた
また武内宿禰の子にはつくの名をとって木菟宿禰と名づけられた
なお古事記では天皇の名は大雀命(おほさざきのみこと)としている
小さい鳥という意味で古くはスズメもサザキと呼んでいたようだ
このため雀の字が充てられたのだろう