つ ば め

ツバメ   燕



燕来る 時になりぬと 雁がねは 国偲びつつ 雲隠り鳴く
                       19−4144 大伴家持


 ツバメ スズメ目 ツバメ科

 夏鳥で、3月から4月にかけて渡来し、繁殖。子育てが終わり、秋10月頃になると越冬地の東南アジアに向けて渡っていく。入れ替わりに冬鳥である雁が北国からやってくる。
 建物の軒下に土をこねて巣を作り子育てをする。市街地や農地の開けたところで飛びながら虫などを捕食する。

 古くから、つばめ、つばくらめなどと呼ばれており、日本書紀の天智天皇6年6月の条には、「葛野郡より白燕をたてまつった」との記事がある。白い燕は白化個体で、瑞祥のしるしとして献上されたのだろう。

 歌は、もう燕が来る時になったのだと、雁が故郷である北国を偲んで鳴いているよという意。雁がこれから帰って行くのは北国だが、作者の家持が偲んでいるのは大和の京だろう。

 この歌が詠われたのは天平勝宝2年3月2日。太陽暦では4月12日となる。家持が越中守として赴任してから4年経っていた。そろそろ京が恋しいなあと思っていたのだろうか。翌年少納言に遷任され帰京する。

 万葉集に詠まれた燕の歌はこの1首のみ。


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