ももちどり

ムクドリ   百千鳥 



我が門の 榎の実もり食む 百千鳥 千鳥は来れど 君そ来まさぬ
                  16−3872 作者未詳

 万葉集には千鳥を歌った歌が26首ある。そのほとんどが佐保川、吉野川、淡海乃海、川瀬と、水辺の千鳥を歌っており、この鳥はシロチドリではないかと思われる。

 中には百千鳥と歌われるように、いわゆるチドリ科の鳥ではなく、沢山の鳥という意味で詠った歌が数首ある。

   3872の百千鳥は、沢山の鳥ということだが、榎の実もり食むとあるところから、この鳥はムクドリと思われる。

 ムクドリは留鳥で、昼間は数羽から十数羽で、公園やゴルフ場の芝生、グランドや畑などでミミズや昆虫などを捕食している。また木の実なども食べ、椋の木の実を好んで食べるところからムクドリと名付けられた。椋の木と榎は同じニレ科の木。

 夕方、塒入りのために集まって来る様は壮観だ。何百羽という集団が、電線に止まって騒いでいる光景は良く見かける。時にはこの糞害が問題になることもある。

 この歌では、百千鳥は多くの若者を譬えて歌っているのでは。歌意は、私のところには沢山の若者が言い寄ってくるけれど、(私が思っている)肝心の貴方は来てくださらないのですね、というところか。  

 

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