も  ず

モズ   百舌鳥 伯労鳥 



春されば もずのかやぐき 見えずとも 我は見やらむ 君があたりをば
                    10−1897 作者未詳

秋の野の 尾花が末に 鳴くもずの 声聞きけむか 片聞け我妹
                    10−2167 作者未詳



 モズ スズメ目 モズ科

 日本全国に分布する。秋から冬にかけては良く目立つところに止まり、キィーキィーと鋭い声で鳴く。これを高鳴きという。春から夏にかけては低木の茂みに入り巣作りをする。
 他の多くの鳥の鳴きまねをするところから百舌鳥の名が付けられたともいう。また、獲物を尖った枝などに刺して置く習性があり、これを百舌鳥の速贄という。

 万葉集には2首あるが、どちらも春と秋の行動を良く観察し詠っている。
 1897は、春になって、モズが草むらの中に潜って見えなくなるように、あなたが見えなくとも、私は遠く見遣りましょう。あなたがいる辺りを。春の相聞歌です。
 2167は、秋の雑歌。夫婦で秋の野を散歩でもしているのでしょうか。尾花の先でモズがキぃーと鋭い声で鳴いている。モズの鳴き声を聞いたことがあるか。(あれがモズの高鳴きだ)よく聞いておけよ我が妻。光景が目に浮かびます。

 



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