み さ ご

ミサゴ   美沙 水沙児 三佐呉 三沙呉 



みさご居る 磯廻に生ふる なのりその 名は告らしてよ 親は知るとも
                      3−362  山部赤人

みさご居る 荒磯に生ふる なのりその よし名は告らせ 親は知るとも
                      3−363  或本の歌に曰く

みさご居る 沖つ荒磯に 寄する波 行くへも知らず 我が恋ふらくは
                      11−2739 作者未詳

みさご居る 渚に居る舟の 夕潮を 待つらむよりは 我こそまされ
                     11−2831 作者未詳

みさご居る 荒磯に生ふる なのりその よし名は告らじ 親は知るとも
                     12−3077 作者未詳

みさご居る 渚に居る舟の 漕ぎ出なば うら恋しけむ 後は相寝とも
                     12−3203 作者未詳

ミサゴ  タカ目 タカ科

 留鳥。魚類を主食とする。海岸、河口、内陸部では湖沼、池にいて、水面上より脚から飛び込んで魚を捕らえる。食べ残した魚を岩礁の間に貯えておくらしいが、これに海水がかかり自然と発酵して鮨のような味になるので、これをみさご鮨といっている。

 みさごを詠った歌は6首ある。いずれもみさご居るで始まっているが、これは次の句にかかり、みさごの居る場所(磯、渚)を示している。

 なのりそ 海藻の名で、新年の飾り物にするほんだわらの古名。食用・肥料にもした。名を導く序詞としている。

 みさご居る 磯廻に生ふる なのりその の三句は4句の名に続く序。

 3−362の歌意は、みさごの居る磯辺に生えるなのり藻ではないが、あなたの名前を教えてよ。親が知ってもいいではないの。

 男が女に名前を聞くのは求婚のしるし。それに応えて名乗ることは男に身を許すことであった。それだけに女からみだりに名を告げることは許されず、親の許可が必要だった。


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