つきくさ

ツユクサ   月草 鴨頭草



月草の 移ろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言も告げ来ぬ
                      4−583 大伴坂上大娘


ツユクサ  ツユクサ科 ツユクサ属

 ツユクサというので、梅雨の頃に咲くのかなと思っていたが、主として夏から秋にかけて咲く。山野や路傍にはびこる一年草。30cm位の高さに生い茂り、その中に点々とつける青い花を露に見立てて露草とか。また、朝咲き昼過ぎには萎んでしまうはかなさから露草と名付けられたとも言われている。

 万葉集のツキクサは、このツユクサの古名。
 花の青汁が衣によく着色するので着草といわれ、染料として利用されていた。

 ところでこの染料、色が変わり易く、洗うとすぐに消えるのと、花が朝咲いて夕方には萎んでしまうところから、万葉集では、このツキクサを移ろう心、醒めやすい恋心に比喩して詠われているものが多い。

 583の歌意は、月草のように変わりやすい気持ちでしか思っておられないのでしょうか、私が思っている恋しいあの人からは便りも来ない。大伴家持に贈った歌。  

 
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