いはゐつら

スベリヒユ   伊波為都良



入間道の 大屋が原の いはゐつら 引かばぬるぬる 我にな絶えそね
                    14―3378 東歌

上野 可保夜が沼の いはゐつら 引かばぬれつつ 我をな絶えそね
                    14―3416 東歌


スベリヒユ科 スベリヒユ属

 日当たりの良い畑や道端に生える1年草。日本全国に分布している。茎が地面をはって広がり、1cm足らずの黄色い花を付ける。花は日が当たると開き、暗くなると閉じる。

  歌の「いはゐづら」は、このスベリヒユであると定説化しているが、詠われている場所が、原とか沼であることから、ジュンサイ・ネナシカズラ・ミズハコベなどとする説もある。

  3378の歌意は、入間道の大屋が原のいわいつらのように、引いたらほどけて私から離れないでおくれ。大屋が原は、埼玉県(武蔵国)入間郡越生町の地か。

 3416の歌も意味は同じ。ただ場所を替えただけ。可保夜が沼は群馬県(上野)だが場所は分からない。

 東歌は民謡をもとに詠ったものが多い。それだけに、場所を変えただけの類歌が多い。この二つの歌も4・5句は同じ意味。序にあたる上3句は詠っている土地名を入れ替えたもの。


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