くくみら

ニラ   久君美良



伎波都久の 岡のくくみら 我摘めど 籠にも満たなふ 背なと摘まさね
                             14−3444 東歌



 ニラ   ユリ科  ネギ属

 古くから日本各地に自生していると言われるが、食用として栽培もされてきた。古事記では加美良、万葉集では久君美良と表記されている。くくは茎。みらは韮の古名。
 細長い葉は20〜30cmになり食用とする。茎は30〜50cmで、先に白い花を多数散形状に付ける。花期は8〜9月。全体に臭気がある。

 この歌は2人の娘の掛け合い風になっている。一人の娘が1〜4句でつぶやいたのに、別の娘が5句で答えている。
 歌意は、「伎波都久(きわつく)の 岡の茎韮は 私がせっせと摘むのに この籠に一杯にならないわ」「ならば、あなたのいいあの方と一緒にお摘みなさいな」

 うららかな春の1日。娘たちが岡に出てはしゃぎながら若菜摘みをしている様子が目に浮かびます。伎波都久は、常陸国真壁郡のあたりともいわれていますが、場所未詳です。目次にも未勘国とあるところから古くから歌い継がれてきた歌なのだろう。


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