く  ず

ク ズ   葛 田葛 久受



ま葛原 なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩の花散る
                    10−2096 作者未詳


マメ科 クズ属

 日本全国の山野にふつうに見られるつる性の多年草。
 クズの名の由来は、奈良県吉野の国栖村の村人がこの根からでんぷんを採り売り出したところから、その地名からといわれている。今では「吉野葛」として知られている。また解熱剤としても利用されている。子供のころ風邪熱を出して食欲がなくなると、よく葛湯を作ってもらった。

 花は総状につき、夏から秋にかけて紅紫色の花が下から先へ順次咲いていく。が、内気な花なのか何れも葉の下に隠れて遠くからは目立たない。

 茎は10m以上も伸び、地面を這ったり、フェンスや電柱、他の植物に巻き付いている。その旺盛な繁殖力のため厄介者扱いにされることもある。が、葛はこの歌に詠われている萩とともに山上憶良の秋の七草の歌に詠われており(8ー1538)、万葉のころから親しまれていたようだ。

 歌は、原一面に生い茂る葛の葉をなびかせるように吹く秋の風。その風が吹くたびに運ばれてくる、これも秋の花を代表する萩の花。厄介にはびこる葛の葉だが、爽やかな秋の風情が感じられる。
 阿太は、奈良県五條市の東部一帯。

 
その他の葛の歌

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