は  ぎ

ハギ   芽 芽子 波疑 波義



秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
                      9−1538 山上臣憶良 

萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花
                      9−1539 山上臣憶良

人皆は 萩を秋という よし我は 尾花が末を 秋とは言はむ
                     10−2110 作者未詳


ハギ  マメ科 ハギ属

 秋の花を代表する萩。万葉の時代でも最も身近で親しまれていた花。万葉集でも萩を詠み込んだ歌が142首と最も多く、第2位の梅の119首を大きく引き離している。

 萩は全国どこででもごく普通に見られる。高さは2mほどにもなり、葉は3出複葉で互生し、紅紫色の花をつける。花期は6〜9月。
 葉には栄養があり、家畜の飼料とされていた。根は婦人病の薬用に、実は食用、樹皮は縄などに使われるなど大変重宝な花。そして花は観賞用に庭などに植えられたが、これはミヤギハギが多い。

 春を代表する花ということで「椿」という字が充てられたように、秋を代表する花という意味で「萩」という字が作られたが、これらは国字。この字が使われるのは平安時代に入ってから。万葉集では芽、芽子、波疑、波義などの字が使われている。
 歌では、雁、鹿、露などとセットで詠われ、それぞれ妻や恋人に見立てて、恋の歌として詠っているものが多い 。

 1539の歌で、憶良は秋の七草の筆頭に萩を挙げている。
 2110の作者は、人は皆萩を秋の代表と言っているが、それでは自分は尾花を秋の代表と言おう。ちょっと天邪鬼だが、やはり萩は秋の代表と認めているのではないだろうか。  

 
その他の萩の歌

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