ち  さ

エゴノキ   山治左 山萵苣 知左



息の緒に 思へる我を 山ぢさの 花にか君が うつろひぬらむ
              巻7―1360 作者未詳

山ぢさの 白露重み うらぶれて 心に深く 我が恋止まず
              巻11−2469 柿本人麻呂歌集

他に長歌 巻18−4106

エゴノキ科 エゴノキ属

 日本全国どこででも見られる落葉高木。雑木林に多いが、公園や庭木としても植えられている。5月から6月にかけてたくさんの白い花が下向きに咲く。

 石鹸の木という別名がある。これは花の後に果実がたくさんぶら下がるが、この皮を粉にして洗濯石鹸として使っていたからという。この果実の皮にはエゴサポニンが含まれており、その効果があったのだろう。

 この花、すべて下向きに咲くところから、それを項垂れ、しょげているたとえとしていた。

 2469の歌意は、山ちさが白露の重みで項垂れているように、しょげてしまって、心の底深く私の恋は止むことはありません。


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