榛 名 湖



上野 伊香保の沼に 植ゑ子水葱 かく恋ひむとや 種求めけむ
                14―3415 東歌


 上毛三山の一つ榛名山は、掃部ヶ岳(1449m)を最高峰とするトロイデ式の二重式火山である。万葉の頃は伊香保呂、伊香保嶺などと呼ばれていた。

 掃部ヶ岳、鬢櫛山、天目山、烏帽子岳などの外輪山に囲まれて火口原湖がある。万葉の頃伊香保の沼と呼ばれていたが、今の榛名湖である。

 榛名山の南山腹には榛名神社があり、東山腹には伊香保温泉がある。両方から榛名湖に快適なドライブウェイが通じており、四季を通じて観光客の姿が絶えない。

 伊香保の沼の湿地帯には子水葱(こなぎ)が植えられていたのだろうか。子水葱は水辺の植物で、若い葉は水菜として食用に供されていた。秋口にはルリ色の可愛い1日花をつける。

 歌意は、可憐な子水葱を、恋してしまった恋人に譬え、その子にこんなに恋焦がれ、悩ませられる。どうしてそんな悩みの種を作ってしまったのだろうか。と苦悩している気持ちを詠っている。


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