街歩き


新選組のふるさと日野を訪ねる


2012.2.5歩く

コ ー ス  徒歩2時間30分
京王線高幡不動駅駅(3分)高幡不動尊(17分)淺川・万願寺歩道橋(10分)石明神社(12分)石田寺(12分)土方歳三資料館(10分)安養寺(40分)堀之内緑道入口(15分)日野市役所(5分)新選組のふるさと歴史館(12分)佐藤彦五郎新選組資料館(3分)日野宿本陣(5分)大昌寺(3分)八坂神社(3分)JR日野駅

 日野は新選組のふるさとといわれている。日野宿の名主であった佐藤彦五郎が近藤周助の天然理心流に入門、自宅である脇本陣に開いた道場に、土方歳三、沖田総司、井上源三郎らが剣の修行に通い、近藤勇らと親交を深める。後にこれらのメンバーで新選組が結成されるが、このときも佐藤彦五郎が物心両面で援助したという。
 今、土方歳三や井上源三郎、佐藤彦五郎の生家には数々の遺品や資料が展示されていて、今なお訪れる新選組ファンが後を絶たないという。
 近藤、土方の位牌を安置している高幡不動から、土方の生家、歳三の眠る石田寺、そして日野宿の本陣跡など新選組ゆかりの地を訪ねてみた。

    

京王線高幡不動駅
 新宿駅から準特急に乗って35分。多摩川を渡って間もなく、瀟洒な駅ビルの高幡不動駅に着く。

   

 駅を南口に出て右へ向い商店街を行く。これが高幡不動尊の参道となっていて、行く手正面に高幡不動尊が見える。100m余り行くと、突き当りが川崎街道。信号を渡ると立派な仁王門があり高幡不動の境内に入る。

高幡不動尊金剛寺
 高幡不動尊として親しまれ賑わっている。正式には高幡山明王院金剛寺といい、真言宗智山派別格本山。本尊は不動明王(国重文)。
 平安時代初期、清和天皇の勅願により、慈覚大師円仁が当地に不動堂を建立し、不動明王を安置したのが始まりとされている。関東三不動の一つに挙げられている。
 安永8年(1779)の火災により多くの堂宇が焼失したが、その後五重塔はじめ、大日堂、奥殿、鐘楼などが再建されている。
土方歳三像
 仁王門の南側、総門を入ってすぐ左手に土方歳三像と近藤・土方の顕彰碑がある。
 土方歳三は日野石田村の生まれ。天然理心流の3代目近藤周助邦武の門下に入り剣の修行を積む。ここで調布の近藤勇と知り合う。将軍家茂上洛の際、護衛役の浪士組の一員として近藤らと参加し、京都へ向う。その後新選組を結成。戊辰戦争では新政府軍と戦い、鳥羽伏見、甲府、宇都宮、会津と転戦するが、函館で戦死する。日野は、新選組誕生の地とも言われる所以である。土方の生家が高幡山の檀家ということもあり、位牌は大日堂におさめられ、この地に近藤・土方の顕彰碑が建てられた。
 境内には、椿、さんしゅゆ、桜、紫陽花、紅葉と四季を彩る花木が多い。
 万葉集に歌われる多摩の横山の一角をなす裏山には、山内八十八ヶ所の弘法大師像が祀られている。  

向島緑地
 高幡不動尊から一旦駅前まで戻り、地下道で線路を潜り北側に出る。北へ右に八坂神社を見ながら進むと潤徳小学校。ここを右から左に用水路に沿って進むと向島緑地に出る。
 用水路にはきれいな水が流れているが、多摩川の支流、浅川から取水したもので、かつてはこのあたり一帯の水田を潤していた。  

淺川
 向島緑地を西に進むと駐輪場を右に見て堤防に行き当たる。川は、高尾・陣馬山中に源を発する淺川で、すぐ下流で多摩川と合流している。堤防上は車は入らず、ジョギングや散歩する人が安心して楽しんでいる。      

多摩モノレール
 淺川にかかる万願寺歩道橋を渡り左岸に移る。下流に向って進むと行く手にモノレールが走っているのが見える。上北台からJR立川駅・高幡不動・多摩動物公園を経て多摩センターまで運行されていて、10分間隔と頻繁に往き来していた。

 モノレールの下の道路を渡り、左へ。東部会館前を右に入る。住宅街を行き、突き当りを標識に従って右へ。次に左、左と回り込むように行くと右手に石田寺がある。

石田寺
 真言宗智山派のお寺で、愛宕山地蔵院石田寺という。高幡不動尊の末寺で、本尊は地蔵菩薩。
 康安元年(1361)吉祥坊慶興という僧が建立したものの、永和3年(1377)頃から衰えて一時は廃寺となったが、文録2年(1593)に慶心という僧が一宇を建立し、石田寺と号したと伝える。
 境内には樹齢400年を越えるというカヤの木があり、市の天然記念物に指定されている。

土方歳三の墓
 境内にある土方歳三の墓。位牌は高幡不動の大日堂に安置されている。命日は5月11日。毎年第2日曜日に墓前で歳三忌が執り行われ、多くの歳三ファンもお参りするという。2012年は5月12日(土)。
 石田寺を出て右へ行くと浅川水再生センター。これに沿って左に行く。バイパスの手前を左に入るとムクやカヤの大木が数本ある「とうかんの森」がある。弘化3年(1846)の水害で流されるまでは、歳三の生家はこのあたりにあったという。このあたり一帯の旧家と思われる家の門札はほとんど土方姓だった。

土方歳三資料館
 とうかんの森から住宅地の中を西へ、モノレールの下を渡り、夢庵の南側の道を入るとすぐ先が土方歳三資料館。
 土方家の屋敷を建て替えるとき、一室を資料館として開放したもの。歳三の愛刀和泉守兼定を始め武具・書状などを展示する。庭先には、「われ壮年武人となって名を天下に上げん」と言って植えたと言う矢竹が今も繁殖している。
 開館は第1・第3日曜日の12時から16時と限定しているため、この日を目当てに来た見学者で賑わっていた。

安養寺
 資料館を出て先を右に入るとすぐに日野バイパスに出る。ここを渡って西へ。消防署の手前を右に入ると安養寺がある。真言宗智山派のお寺。武蔵七党の内の由井宗弘の直系に当たる田村氏の居館跡と伝えられ、田村氏の開基ではないかと言われている。日野七福神の毘沙門天を祀る。境内はさほど広くはないが、清潔で落着いた雰囲気がある。。

水路
 安養寺から元の日野バイパスに出て真直ぐ西へ向う。前方に川崎街道が見えてくる。その一つ手前で用水路に沿って左に入る。きれいな水が流れ、大きな鯉も遊ぶ。少し先で川崎街道を横断し、しばらく水路に沿って進む。このあたり新しい民家も増えているが、長閑な里山の雰囲気も楽しめるところだ。  

堀之内緑道
 道はやがて広い車道に出る。それを少し右へ行ったところに堀之内緑道の入口があるのでここを右に入る。良く整備された好ましい道だ。

左手に田んぼを見て緑道は終わる。ここから右へ緩い坂の車道を行く。

 右に高い石垣が続き、その上のゴルフ練習場のネットを見ながら行くと右手に石段があるので、これを上がる。

日野市役所
 かなり急な車道を上がり、台地上に出たところで日野バイパスと交差する。神明1丁目の交差点で、ここを横断すると前方にレンガ壁の赤い建物があり、市民会館、市役所と続く。
 市役所の角を右に折れ、見事な桜並木を行き、途中神明4丁目の交差点を左に入ると、新選組のふるさと歴史館に着く。

新選組のふるさと歴史館
 日野市にゆかりのある新選組に関する資料を収集・展示するため、平成17年4月に開館したもの。新選組が誕生した経緯や歴史、新選組に関する資料を常設展示するほか、日野宿や多摩地域の歴史・文化なども紹介している。  

 先ほどの桜並木通りを東に進むと急な石段がある。ここがかなりの高台であるのがわかる。この石段を注意して下り、左へ進む。中央自動車道を潜り、右から川崎街道を合わすとすぐ先左に入ったところに佐藤彦五郎新選組資料館がある。  

佐藤彦五郎新選組資料館
 佐藤彦五郎は日野本郷の名主で、日野宿脇本陣を営む傍ら、天然理心流の近藤門下に入った。また、歳三の姉、のぶを娶っていることもあり、新選組誕生に際しては精神的、財政的援助を惜しまなかったという。
 館内には、歳三より譲り受けた愛刀「越前康継」、愛用の「鉄扇」、近藤勇から譲り受けた短銃などのほか、書簡などの資料を展示する。
 ここも毎月第1・第3日曜日のみ開館。  
日野宿本陣跡
 元の道から甲州街道に出て左へ行くと日野宿本陣跡。日野宿本陣、脇本陣は軒を連ねていたが、現在残っているのは佐藤彦五郎の住居でもあった脇本陣。江戸時代、参勤交代で甲州街道を利用した大名は、高島藩諏訪氏、高遠藩内藤氏、飯田藩脇坂氏のみで、交通量も五街道中最も少なかったという。
 甲州道中45宿のうち、現在残っている本陣は、日野宿、小原宿(相模湖)、下花咲宿(大月)の3宿のみで、都内では唯一つ。本陣の遺構を知るのに貴重な存在である。  

 本陣を出て少し先の角を左に入り、小学校のところを右へ。甲州街道から1本南の、用水路に沿ったきれいに整備された通りを行く。途中左手に大昌寺がある。  

大昌寺
 三鷲山鶴樹院大昌寺といい、浄土宗知恩院派のお寺。本尊は阿弥陀如来。慶長7年(1602)讃誉上人の創建。佐藤家の菩提寺で、佐藤彦五郎と妻のぶ(歳三の実姉)の墓がある。

 一旦甲州街道に戻り先に進むと日野駅近くに八坂神社がある。  

八坂神社
 創立年代はわからないが、昔近くの川から光るものが見えたので拾い上げたところ、牛頭天王の神像とわかり、里人歓喜して祠を建立、これを祀ったのが始まりとされている。
 祭神は素盞鳴尊。本殿は寛政12年(1800)に完成したもので、一間社造り、正面に千鳥破風、軒唐破風の向拝を配したもので、彫刻も素晴らしい。本殿は神明造りの覆屋で覆われ保護されている。市指定文化財。  

JR日野駅
 神社を出て西へ100m余りでJR中央線日野駅。古い駅舎を模した懐かしい建物である。
 駅近くには新選組6番隊隊長井上源三郎の生家(資料館)や墓のある宝泉寺などがあり、時間があれば寄ってみたい。  


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