殿ヶ谷戸庭園



 ここは、元三菱合資会社の総理事であった江口定條の別荘であったところ。江口は後に南満州鉄道の副総裁、貴族院議員をつとめる。

 昭和4年、三菱の経営者であった岩崎彦弥太が買い取り、母屋の建て替えや紅葉亭を新築するなどして庭園を整備した。庭園は国分寺崖線の段丘をうまく利用して造られており、崖上は母屋とその前面に広がる芝生地の洋風庭園。崖下は崖線からの湧水を利用して造られた次郎弁天池を中心にした和風庭園。和洋折衷の変化に富んだ庭園となっている。

 昭和49年東京都が買い取って整備し、有料公園として開園した。平成23年9月21日には国の名勝として指定された。

 園内には、1月から咲き始めるロウバイ、ツバキ、ウメ、アジサイ、ハギなどの花木や、武蔵野に自生する カタクリ、スミレ、レンゲショウマ、エビネ、ホトトギスなど四季の花が次々と花開き、来園者の目を楽しませてくれる。特に秋の紅葉は素晴らしい。(2016.11.29歩)




本館前芝生地を飾るイロハモミジ。   




湧水源
 国分寺崖線から湧出した水。この下の次郎弁天池の水源になっている。湧出量は1分間に約37リットルとか。




次郎弁天池
   崖線から湧き出した水を取り入れて造られた池。崖上の洋風庭園に対して、崖下に造られた和風庭園の中心を成す池。古くから次郎弁天の清水として知られていたようだが、その由来ははっきりしない。  




竹の小道
 次郎弁天池に通じる道の途中にある孟宗竹の林。  




紅葉亭
 次郎弁天池から急な坂道を上がると数寄屋風の茶室紅葉亭がある。岩崎彦弥太がここを買い取った時に新築したという。今は茶会や句会などの集会に利用することができる。  




紅葉亭からの眺め
 かつてはここから武蔵野の田園地帯が見渡されたと思われるが、今は高層マンションなどに取り囲まれている。が、今眼下の次郎弁天池とそれを覆う紅葉の眺めは素晴らしい。    




イロハモミジ    




鹿おどし
 もともとは田畑を荒らす鹿や猪を追い払うために造られたもの。カーンカーンと鳴る澄んだ音を風流として楽しむようになり、日本庭園などに造られるようになった。  




馬頭観音の石碑
 馬と言えば競馬場を思い起こすが、今では見かけなくなったものの、かつては馬や牛は農耕や運搬用として欠かせないものであった。馬頭観音は、民間信仰でそんな馬の守護仏として祀られていた。この碑は国分寺市内にある11基のうちの一つ。文政7(1824)年に建てられたもの。  


 


所在地  東京都国分寺市南町2−16
アクセス JR中央線・西武鉄道国分寺駅南口から徒歩2分
入園料  150円 65歳以上70円
休園日  年末年始(12/29〜1/1)
開園時間 9時〜17時(入園は16時30分まで)



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