里山歩き


横瀬の里・巡礼道を歩く


2010.1.30歩く

コ ー ス  徒歩3時間35分
西武秩父線横瀬駅(10分)9番・明智寺(30分)武甲山御嶽神社里宮(10分)8番・西善寺(30分)6番・卜雲寺(15分)7番・法長寺(45分)5番・語歌堂(3分)長興寺(25分)10番・大慈寺(15分)姿の池(20分)東林寺(12分)横瀬駅

秩父のシンボル武甲山の北麓に広がる横瀬の里は、春は色とりどりの花が咲き競い、訪れる人の目を楽しませ、秋は観光果樹園で味覚を楽しむことが出来る。また秩父34箇所の案内も行き届いており、レジャーを兼ねて札所めぐりをする人も多い。花には少し早かったが、良く晴れた早春の1日、5番から10番まで歩いた。

    

西武秩父線横瀬駅
 池袋から土・日・祝日には直通快速急行で1時間15分。平日は特急以外は飯能で乗換となる。

 背景に武甲山が聳える。    

 横瀬駅改札口を出て右へ線路に沿って進み、2つ目のカーブミラーのところを左に入る。
 駅右の案内所では親切に巡礼コースの案内をしてくれた。


 コースの分岐にはカワセミの止まるしっかりとした道標があるので、迷うことなく安心して歩ける。

 この先Y字路を左に行くと明智寺。

札所9番 明智寺
   臨済宗南禅寺派のお寺。開創は古く建久2年(1191年)明智禅師がこの地に堂宇を建立したのが始まりとされている。明治16年(1883年)に火災により焼失、現在の朱塗り六角の観音堂は平成元年の再建によるもの。本尊は如意輪観世音菩薩。

ご詠歌
 巡りきて その名を聞けば明智寺
   心の月は くもらざるらん

 先程のY字路まで戻り、左へ武甲山への道を行く。西武線の線路を潜り、しばらく並行して進む。前方に見えるのは双子山か。
 この道ダンプカーの往来が激しいので注意していきたい。

 やがて、左道路脇に延命地蔵があり、その先で左下に下りる近道があり、畑の畦道を行く。
 車道を横切り城谷沢を渡ると左手に武甲山御嶽神社の里宮がある。  

武甲山御嶽神社里宮
 武甲山山頂に鎮座する日本武尊を主祭神とする御嶽神社の里宮。神殿、神楽殿、社務所からなっている。
 神殿は間口3間、奥行き4間の、これは珍しい蔵造りの建物。享保年間(1716〜1735年)の造営と伝えられている。

 お参りしていたら社務所から奥様が出てこられた。散歩に出ようと思っていたが、良かったら中をご覧くださいといって社務所を案内してくださった。
 奥座敷は御神楽の見物席として増築されたもので、間仕切りの杉戸に描かれた杉戸絵24枚と欄間の彫刻13面はすばらしく、共に町指定の有形文化財となっている。

城谷沢の井
 里宮の前を流れる城谷沢の上流10mほどのところにある。
 永禄年間(1558〜1570年)、この近くにある根古屋城陣代の浅見伊賀守慶延が絹布作りを奨励し、この井戸で晒したと伝えている。それが秩父絹を代表する根古屋絹となり、後に秩父銘仙となって全国に知られるようになる。そしてここが秩父銘仙の発祥の地として県の史跡に指定された。

札所8番 西善寺
 元の通りへ出て先へ行くと右手の高台にある。
 臨済宗南禅寺派のお寺。文暦元年(1234年)の開創。本尊は十一面観世音菩薩。観音霊場でありながら本尊は秘仏のためかご詠歌でも分かるように本仏阿弥陀三尊が信仰を集めている。今はぼけ封じの寺として知られている。

ご詠歌
 ただたのめ まことのときは西善寺
   きたりむかへん 弥陀の三尊  

コミネカエデ
 山門を入り少し下ると境内。本堂の前に樹齢500年余と言う苔むしたコミネカエデの巨木がある。天然記念物に指定されている。

 元の道を戻り、里宮を過ぎてT字路で9番から来た道を左に見送って先へ進む。線路を潜り、最初の十字路を左へ。次の高架橋の手前のY字路を右へ。道なりに行くと小松沢レジャー農園が見えてくる。入口の前を左へ行くと山の中腹に卜雲寺がある。
 途中の民家の2階は養蚕室だろうか。特徴のある建て方が目に付く。のどかな秩父の風物を楽しみながら歩く。

道しるべ石
 秩父巡礼道は古くから歩かれていただけに、カワセミの案内標だけでなく様々の形の道しるべがある。
 これは元禄15年(1702年)に建てられたもの。  

札所6番 卜雲寺
 曹洞宗のお寺。本尊は行基菩薩作と伝える聖観世音菩薩。はじめ武甲山頂の蔵王権現社に安置されていたものを、後に藪沢のとか池に移され、そこに堂宇が建てられたが、その地が荻の多いところから荻野堂と呼ばれていた。それが宝暦10年(1760年)に卜雲寺に移されたことから6番は荻野堂ともいわれている。寺宝として「荻野堂縁起絵巻」1巻が保存されている。
ご詠歌
 初秋に 風吹き結ぶ荻の堂
   宿かりの世の 夢ぞ覚めける  

武甲山
 卜雲寺は高台にあるだけに見晴らしが良い。ここから見る武甲山のシルエットは秩父の盟主の名に恥じない堂々としたものだ。だが残念なことにその山肌は見事に切取られ、見るも無残な姿を晒している。

福寿草
 境内の一隅に福寿草が1輪だけ咲いていた。パラボラアンテナを目一杯開いて、太陽の恵みを一身に受けているようだった。  

札所7番 法長寺
 卜雲寺の坂を下りて西へ500mほどで法長寺がある。
 曹洞宗のお寺。本尊は十一面観世音菩薩。室町時代後期花園城主藤田康邦の開基とされているが、本堂も観音堂も江戸時代に焼失。本堂は、後平賀源内の設計によって再建され、秩父札所随一の大きさを誇っている。
ご詠歌
 六道を 兼ねて巡りて拝むべし
   また後の世を 聞くも牛伏
 

 法長寺には次のような伝説がある。
 昔花園左エ門の家来が戦に敗れ、この地に落ちのびて亡くなった。その妻の夢に亡き夫が現われ、牛に化身して苦しんでいると救いを求めた。そこで妻は出家して夫を救ったという。
 これに因んで、7番を牛伏堂とも呼ばれている。

 蝋梅に続いて梅が咲きだし、早春の秩父路を彩っていた。  

 晴れ渡った空にはトビが悠然と弧を描いていた。

 法長寺を出て北へ。道しるべに従って最初の十字路を左へ。道なりに行くとT字路に出る。左へ行くと新田橋を渡って歴史民俗資料館へ通じる。この橋の脇に小さな公園があり東屋もあるので休憩には良い。
 元に戻って河岸段丘の上の道を行き車道に出て左に行くと自動車学校があるので、この手前を右に行くと前方に語歌堂が見える。  

札所5番 長興寺 語歌堂
 臨済宗のお寺。本尊は准胝観世音菩薩。山門を入るとぽつんと通称語歌堂という観音堂があるだけ。納経所は200mほど東の長興寺本堂にある。
 この語歌堂は長興寺の檀徒の本間孫八が慈覚大師作の准胝観世音菩薩を安置するために建てたという。和歌が好きだった孫八が、旅人に化身した聖徳太子と和歌の奥義を談じたところから語歌堂と言われるようになったと伝える。
ご詠歌
 父母の 恵も深き語歌の堂
   大慈大悲の 誓たのもし  

 語歌堂横の道を入り、北西へ進むと県道11号線に出る。これを左へ横瀬川を語歌橋で渡りしばらくで右手山裾に大慈寺が見えてくる。
 
札所10番 大慈寺
 曹洞宗のお寺。延徳2年(1490年)東雄禅師の開山と伝える。本尊は聖観世音菩薩。
 堂々とした仁王門を潜ると正面に本堂。本尊のほか阿弥陀如来、地蔵菩薩、不動明王、子安観音が安置されていて、子育ての観音様として信仰を集めている。堂前になで仏の「おびんづる様」があり、頭と膝が特につやつやと輝いていた。
ご詠歌
 ひたすらに 頼みをかけよ大悲寺
   六の巷の 苦にかわるべし

 大悲寺の石段を降りて右(西)へ。先程の県道に出るとすぐに国道299号で坂氷の交差点。正面の丘は羊山公園。春の桜と少し遅れて芝桜が咲く、武甲山を背景とした一面の赤と白の絨毯は見事。
 公園内には武甲山の地質や動植物を展示する「武甲山資料館」、棟方志功の作品を中心に展示する「やまとーあーとみゅーじあむ」などの施設がある。
 

姿の池
 坂氷の交差点を右へ行くと秩父神社。左は横瀬。左上の道を行くとすぐ姿の池に出る。
 池の手前を左へ。冬なら鴨の遊ぶ池を右に見て、池の東端を左へ線路に沿っていく。やがてその線路の下を潜りなおも進むと横瀬駅は近い。
 途中の四つ角を右へ行くと秩父七福神の恵比寿神を祀る東林寺がある。  

オープンガーデン横瀬
 横瀬ではこの看板のある、60軒あまりの個人やお寺などの庭園を花の時期にオープンガーデンとして開放している。
 それぞれの家により花の種も異なるので、開花時期以外はクローズされている。この看板の下にOPENとなっているところは自由に見学できるが、あくまでも見学させていただいていると言う気持ちでマナーを守りたい。  


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