里山歩き


白鳥の古徳沼から常陸二ノ宮へ


2007.12.18歩く

コ ー ス  徒歩2時間25分
JR水郡線瓜連駅(15分)常福寺(10分)素鵞神社(30分)古徳沼(30分)静神社(5分)静峰ふるさと公園(20分)桂木神社(15分)権現塚古墳(10分)弘願寺(10分)JR静駅

南北朝時代、楠木氏と佐竹氏の1年に及ぶ激戦の合った瓜連城址から関東有数のオオハクチョウの飛来地として知られるようになった古徳沼を訪ね、さらに織物の発祥の地と言われる静織りの里を歩く。古代から現代までの歴史を偲び、里山の風景を楽しみながらのんびりと歩いた。

    

JR瓜連駅
スタートとなる瓜連駅には常磐線水戸駅で水郡線に乗り換え30分ほど。
ホームの階段を上り左(北)へ線路を渡る。駅前のトイレの前を東に進むと車道に出る。これを左へ進み次の信号を左折。車に注意しながら行くとやがて右手に常福寺の山門が見える。
常福寺
浄土宗のお寺で、本尊は阿弥陀如来立像。暦応元年(1338年)京都・知恩院の末寺として創建された。
当地を支配していた佐竹義篤が寺地、仏供料を寄進して祈願所としていたが、元中5年(1388年)に火災にあい、その後廃城になっていたここ瓜連城跡に再建された。天文12年(1543年)に後奈良天皇から「常福寺」の勅額を授かり、また慶長7年(1602年)には徳川家康から寺領百石の御朱印があって、関東十八壇林の一つに列せられた。現在の本堂・山門は平成7年に建てられたもの。
寺宝の紙本著色拾遺古徳伝、絹本著色法然上人像はともに国重文。


瓜連城址
常福寺の境内はかつて瓜連城のあったところ。
南北朝時代の延元元年(1336年)1月、南朝方の楠木正家がここに城を築き、北朝方の佐竹義篤と戦った。戦いは1年続いたが、12月ついに正家は義篤に敗れ敗走、その後城は廃城となった。
当時の土塁や堀の一部が今も良く保存されていて、これらの遺構から見て、東西南北それぞれ700mほどあり、大規模な城郭であったことが伺われる。

常福寺の山門を出て元来た通りを横切り、郵便局の横を入り1つ目の通りを右へ行く。民家の庭先の花木を楽しみながら行くと突き当たりに素鵞神社が見える。小さいながらも立派な社殿を見て、境内を通り抜け裏側に出て左へ。道は二股に分かれているので左側を神社に沿っていく。やがて水郡線を渡り右に小学校をみて国道118号線に出る。これを横断し田圃の広がる中の道を真直ぐ進む。道なりに左にカーブして行った先に古徳沼がある。 

古徳沼
古徳沼は農業用溜池。昭和41年はじめてオオハクチョウ2羽が飛来したのに、地元の人が餌を与えた のが切っ掛けで、その後毎年増えていき、多い年には200羽を超える関東有数のオオハクチョウ飛来地となった。現在では近くの中里溜池、一ノ関溜池に分散しているため100羽に満たないが、他にオナガガモ、ミコアイサ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ヨシガモなどの冬鳥も多く見られる。

古徳沼から少し戻り、駐車場の上の道を左に入る。舗装された立派な道だが車の往来は少なく、暫らくは里山の景観を楽しみながら行く。秋には木々が紅葉し目も楽しませてくれる。

常陸二ノ宮・静神社
道が下り坂になり左に溜池が現れると正面に大きな鳥居が見える。
常陸国では一ノ宮の鹿島神宮に次ぐ二ノ宮。創建年代は明らかではないが、延喜式神名帳にも記載されており、古くから皇室や将軍家からも崇められてきた。
主祭神は建葉槌命で織物の神。この辺り古くから静織の盛んなところとして知られていた。
両側に派手なご神灯が並ぶ石段を登ると拝殿。

社殿は水戸2代藩主光圀により修営されたが、このとき境内のヒノキの大木の根元から奈良時代に作られた銅製の「静神宮印」(国重文)が発見された。その後天保12年(1841年)の火災により社殿は焼失。現在の社殿は水戸9代藩主斉昭が再建したもの。静神宮印のほか、3代藩主綱条が奉納した「紙本著色三十六歌仙絵」(県重文)がある。

静峰ふるさと公園
静神社の裏手一帯に広がる公園。 12haの園内には約2000本の八重桜が植えられている。ここは「日本のさくら名所100選」にも選ばれており、花時には「八重桜まつり」も開催され大勢の花見客で賑わう。桜の他にもツツジやアジサイなども多く、各種遊具施設、水上ステージ、交流センターなどの施設もある。
静峰ふるさと公園を出て、先の大鳥居の前を進み二つ目の辻を左折。少し行くと右手に大きなムクの木が見える。その下にある小さな社が桂木稲荷神社。
桂木稲荷神社
祭神に倉稲魂命を祀る。言い伝えによると、平安後期の永保3年(1083年)に始まった奥州最大の豪族清原氏の内紛で、一方の清衡から助けを求められた源義家が大軍を率いて出陣した。この争いが後三年の役というが、この折義家がこの神社に戦勝祈願したという。
その時持参した鞭を地面に差したままにしていたものが根付いて今のムクの木になったという。桂木稲荷神社の神木で、樹齢900年余。樹高約15m。ニレ科植物の南限の木として珍しく、県の天然記念物に指定されている。

権現塚古墳
桂木稲荷神社の前の道をさらに北へ進み、突き当たりの道を右へ道なりに行くと左前方にフェンスに囲まれた古墳が見えてくる。5世紀の末頃この辺りに築かれた9つの古墳の一つで、当初全長50m、幅35m、高さ4.5mあったと推定されている中規模の前方後円墳。昔この辺り「静織の里」とよばれ始めて織物(綾織)を織ったと伝えるところから、織物の神を祀る静神社とも関係のあった有力者の墓ではないかといわれている。
弘願寺
田圃の畦道を元の車道に出て東へ。水郡線の手前県道168号線に出たところに弘願寺がある。創建は貞治年間(1362年〜1367年)と伝える臨済宗のお寺。本尊は阿弥陀如来。境内には静神社から移植された桜の木やアジサイ、ツツジなど多くの花が植えられている。平成17年に近くの8ヵ寺が集まって、「開運花の寺めぐり」を開創した。
くすぐり地蔵
境内の西側に「くすぐり地蔵」がある。自分の体の悪いところと地蔵の同じところを交互にくすぐると良くなるという。何故か顔の部分が特に磨り減っていたようだ。
ここを出て道なりに水郡線と平行して進むと、程なくゴールの静駅が見えてくる。駅員無配置駅。列車本数は1時間に1本程度と少ないので、事前に時刻を調べておいて調整しながら行こう。


ホーム トップ 地 図